クリスチャンディオール(ディオール)の魅力を歴史・デザイナー・アイテムからご紹介

■クリスチャン・ディオールの歴史

1946年のフランスでクリスチャン・ディオールによって創設されたブランドです。
ディオールは、少年時代に建築における装飾技術を学び、その知識と技術をベースにした新しい感性でファッション界に大きな足跡を残しました。

しかし、彼はブランドを立ち上げた12年後にこの世を去ります。
まだ歩き出したばかりのブランドが創立者を失い、どのように現代まで人気を維持してきたのでしょうか。

今回は、デザイナーとともに変化を繰り返すブランド”クリスチャン・ディオール”をご紹介します。

■クリスチャン・ディオール誕生までの経緯

1905年にフランスで、クリスチャン・ディオールは実業家の両親の間に生まれ、恵まれた家庭環境で育ちました。
少年時代にはパリの建築に興味を持ち、特に装飾芸術に強い関心があったディオールは建築家になることを志します。
しかし、両親は息子が外交官になることを望んでいたため、パリ政治学院に進学することになったといわれています。

そんな中でも進学後は、新進気鋭のアーティストである友人に囲まれながら、古美術商と提携し、小さなギャラリーをオープンさせるなど、芸術界と密接に関わりながら過ごしていたといわれています。
彼の装飾芸術の知識をもとにした感性やデッサン力は、当時の偉大なクチュリエ(裁断師)であるロベール・ピゲやリュシアン・ルロンに認められ、アシスタントとして働くことになりました。
著名なデザイナーであり、後にブランドを立ち上げたバルマンやジバンシィも上記のクチュリエから指導を受けており、互いに刺激を受けながら、ディオール本人の才能も開花していったといわれています。
その後独立し、ブランド”クリスチャン・ディオール”を立ち上げることになります。

独立後、1947年に彼が提案した、なで肩で細く締まったウエスト・フレア型のスカートを用いた女性らしい優美化を表現したスタイルは、遠く離れたアメリカでも好評を博し、ニュールックという表現によって、クリスチャン・ディオールの世界観が広く認知されていきます。

■クリスチャン・ディオールの魅力

モード系、ストリート系など全く異なるファッションにおいて、男女問わず、多くの人々を魅了し続けるクリスチャン・ディオールのアイテム。

古典的でなく、常に魅力あふれる革新性を持ったデザインが人気の秘密と言っても過言ではありません。
次に、それらのデザインを手掛けるクリスチャン・ディオールのデザイナーを紹介します。

■ディオールを支えた6人のデザイナー

創設者であるクリスチャン・ディオールはブランドを立ち上げ後、12年という短い間でこの世を去っています。
以降は、多彩で魅力的なデザイナーが就任しており、著名なデザイナーばかりです。

今回はその中の6人のデザイナーを紹介します。

イヴ・サンローラン

1957年、ディオール亡き後に主任デザイナーに就任しました。
当時21歳という若さで大役を担ったサンローランですが、その3年後に徴兵によってブランドを離れることになったといわれています。

徴兵期間が終わった後は、1961年に自身のブランドである「イヴ・サンローラン」を立ち上げることになります。

マルク・ボアン

1960年にサンローランがブランドを離れた後に後任のデザイナーとなります。
その後、28年という長い間、主任デザイナーとして活躍しました。

彼が提案するタイトな着こなしのスリム・ルックは、多くの女性に支持を受けていました。

ジャンフランコ・フェレ

イタリアのアクセサリーデザイナーとして活躍していましたが、1978年に自身のブランドを立ち上げています。
当時のミラノは「ジョルジオ・アルマーニ」や「ジャンニ・ヴェルサーチ」と並び、ジャンフランコ・フェレのデザインは高く評価を受けていました。

1989年に、ディオールの主任デザイナーとして就任し、ディオールの魅力が世界に広がるきっかけとなったニュールックを再解釈したデザインで人気を博します。

ジョン・ガリアーノ

1995年まではジバンシィのデザイナーとして活躍していましたが、翌年に1996年から15年に渡り、ディオールに就任したイギリス人デザイナーです。

ジャンフランコ・フェレ以降、フランス人以外のデザイナーを採用することが続いており、ディオールでも革新的なイメージ刷新を行おうとしていたのではないでしょうか。

彼の手掛けた代表的なバッグ”サドル・バッグ”は2018年に復刻され、高い人気を誇っています。

▼2018年に復刻されたサドルバッグ

エディ・スリマン

2001年から2007年にかけて、ディオールのメンズラインであり「ディオール・オム」のデザイナーを担当しています。
前年まではイヴ・サンローランのメンズラインのディレクターとして活躍していましたが、その功績を見たディオールから声がかかったといわれています。

以前のディオールのメンズラインは「ディオール・ムッシュ」とい名称でしたが、エディ・スリマンの就任を機にディオール・オムに変更しています。

彼が手掛けるロックで完備な世界観のデザインは多くの若者を虜にし、低迷していたメンズライン部門を復活させるきっかけとなりました。

▼エディ期の人気アイテム
ファインド・アゲイン・デニムパンツ 7E3110610198
2007年SS発売のデニム。ストレートでスリムなシルエットが人気のデニムパンツです。

キム・ジョーンズ

2018年からディオールのメンズラインディレクターに就任しており、現代のメンズファッションを牽引するデザイナーの一人と言えます。

「アンブロ」「ダンヒル」「アレキサンダー・マックイーン」など様々なブランドで働く経歴を持つキム・ジョーンズですが、一躍有名になったきっかけは「ルイ・ヴィトン」での活躍ではないでしょうか。

ストリートで人気を博していた「シュプリーム」「フラグメント」とのコラボを実現し、ルイ・ヴィトンに新しい顧客を取り入れた立役者ともいわれています。

▼ディオール×リモワのキャリーケース

▼1967年に発表された「ディオール・オブリーク」シリーズの再解釈モデル

■ディオールの人気アイテム

レディ・ディオール

ディオールを代表するアイコンバッグ。
1995年、当時のフランス大統領からダイアナ妃に贈呈されました。
ダイアナ妃はこのバッグを非常に気に入り、公務やプライベートで使用していたといわれています。
それがきっかけとなり、一躍有名バッグへと成長しました。

当初はフランス語でお気に入りを意味する「Chou Chou(シュシュ)」という名前でしたが、ファースト・レディであるダイアナ妃をオマージュして「レディ・ディオール」という名称になりました。

サドルバッグ

ジョン・ガリアーノによって誕生したサドルバッグ。
2018年に当時のデザインを元に、復刻されました。
メンズラインにも、ボディバッグにもなるマルチバッグとして復刻しています。

ブックトート

現在のアーティスティック・ディレクターであるマウリ・グラツィア・キウイが発表したアイテム。
ディオールのロゴが散りばめられたキャンバス地を使用した「ディオール・オブリーク」を再解釈し、現代風のデザインに生まれ変わったバッグです。

■最後に

革新をもって進化し続けるクリスチャン・ディオール。
それぞれのデザイナーが手掛けるアイテムは、一品と言えるほど魅力的なデザインとアイテムばかりです。